photo by DAICI ANO
Peak Cottage
建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・岡田尚子
構造:江尻構造建築設計事務所
設備:団設備設計
照明:岡安泉照明設計事務所
外構・造園:SOYぷらん
施工:辰
photo by DAICI ANO
3つのGL
東京は洪積台地に浸食による沢山の谷があり起伏のある自然地形を基層に持っている。敷地は淀橋台に属しながら目黒台の沖積低地となる谷道に面しており南に緩やかに下っている。東側は10mほどの急峻な崖になっており、その崖線に沿って細い私道が下っている。西側も緩やかに上っていている。敷地は西側の道路面から2,6m上がったところに宅盤があり、さらに東側に5mほどの擁壁があり、その上に私道が通っている。ここは3つのGLがある。
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地盤状況を見ながら基礎の作り方を検討する中で、フローティング基礎のような考え方をとると、3層分のRCの箱の上に1層の木造を載せるくらいの地耐力であることがわかった。崖地であること、地下を持つことでRC造にする必要があるのだが、擁壁の天端までのコンクリートの箱を基壇として、そのうえに木造の小屋が載るという案にたどりついた。これはこの場所の地理地形がつくる建築の構成である。
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東側の擁壁上にある私道から最上階の小屋の空間にはブリッジでアクセスすることにしたが、擁壁には荷重をかけられないので片持ちで建物側から支えている。小屋は東西の妻側にバルコニーを持つ開放されたパーティルームのような空間である。この中にいると木のルーバー越に東西に視線が抜け、その先に庭木の樹頂や崖線の緑地が見え、谷の中にいることが感じられる。
基壇となるコンクリートの箱のなかは、上階のリビングから下りて使う寝室やバスルームなどの諸室、そして、西側道路から使う車庫、その上にある庭に接するギャラリーには友人がしばらく滞在できるような簡易の宿泊に対応する設備を設けている。
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「Peak Cottage」という呼称はオーナーが付けたのだが、東京近くの県に本宅を持ち、ここを気のあった友人たちと東京にあるクラブハウス、またはセカンドハウスのように使うようである。ということはこの建物は家族のための住宅ではない。建物の竣工後、ガーデニングを趣味とするオーナーが作庭を楽しんでいる。
urban section
3F plan
所在地 東京都
用途 セカンドハウス
敷地面積 227.42m2
建築面積 82.51m2
延床面積 280.57m2
階数 地下1階 地上3階
構造 地下1階〜2階:鉄筋コンクリート造 3階:木造
竣工 2017年8月
掲載 新建築住宅特集 2018年5月号
朝日新聞 2022年10月4日夕刊
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