photo by nobuaki nakagawa

この住宅は東京の郊外の丘陵地にたっている。住まい手は男性ひとりであり、生活そのもののための空間を最小限の箱に収納し、彼の趣味のための空間（車２台のためのガレージ、大人数のパーティースペースなど）を既製品の農業用のガラス温室でつくった。ここでは住宅が家族生活を収用する容器であるという概念は崩壊し、住まい手の趣味を支える道具となっている。

単純な架構体に見えるが、温室の架構とコンテナ状の架構が一体となって力を分担し、部材メンバーを下げている。

構造の架構体はすべてあらわしで見えている。

吊りボルト、ブレースなど必要最低限の補助部材がついている。

photo by nobuaki nakagawa

photo by mitsumasa fujitsuka

photo by mitsumasa fujitsuka

農業用のガラス温室は3mm厚のガラス単板を下見張りのように収めるディテールとなっている。
この空間は外気温と変わらない、建築でつくったニワである。

ここでは季節のよい数か月、そして雷をともなう豪雨、降雨のときなどには内部でもない外部でもない場にいるという不思議な空間体験ができる。

photo by nobuaki nakagawa

コンテナ状の空間の内部には巨大なキッチンカウンターが置かれている。

コンテナの室内気候を守るために、ガラス温室の空間とは樹脂フィルムを太鼓貼りにした建具によって仕切られている。

（北山 恒）

photo by nobuaki nakagawa

所在地　　神奈川県大和市

用途　　　住宅

敷地面積　100.00m2

建築面積　 59.84m2

延床面積　121.51m2

階数　　　地下1階　地上3階　

構造　　　鉄骨造+鉄筋コンクリート造

竣工　　　1995年5月

掲載　別冊太陽　日本の台所100年　2022/6
　　　Smithsonian USA 2000/5
　　　Monthly M 2000/7
　　　男の隠れ家 2000/5
　　　UME 3 Australia 　
　　　Abitare 403 Italy 　
　　　建築文化 1999/3
　　　住宅建築別冊48 1998/12
　　　モダンリビング 1998/11
　　　室内 1998/1
　　　建築知識 1996/7
　　　AXIS vol.60 1996/3-4
　　　モダンリビング 1995/11
　　　室内 1995/9 pp.75-77
　　　新建築住宅特集 1995/9
　　　GA HOUSES 47 JAPAN

　　　現代住宅の納まり手帖 / 彰国社 2019
　　　日本の現代住宅　1985-2005 / TOTO出版 2005
　　　SPACE Japanese Design Solution for Compact Living / UNIVERSE 2004
　　　一流建築家と家を建てるには　斎藤浩実編著　/ 洋泉社 1998