photo by DAICI ANO

Aobadai Apartments

青葉台の集合住宅

建築:awn / 工藤徹・岩崎すみれ

構造:構造計画プラス・ワン

設備:ピロティ

施工:岩本組

 


 

敷地と周辺状況


敷地は目黒川からすぐ近くにあり、マンションの1階部分や戸建ての住宅の間に個性的な店舗が点在しながら広域にわたって分布しているので、街歩きが楽しい。主要駅も複数が徒歩圏内にあり、大きな公園が近くにあるため、利便性が高く生活をするにも落ち着いた住環境である。一方で、この地域にはブティックやデザイン関係のアトリエやスタジオが点在しているため、モノづくりの仕事をするにも適する地域となっている。

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プログラム


このような環境から、住居を専用とするプラン以外へのレイアウトの自由度があり、仕事をしながら生活するホームオフィスのような、生活と仕事の場所が近くなるような住まいの空間をイメージした。50m2程度の少し広めのタイプ基準として、なるべく大きなルームの背後に、生活をバックアップする充実した収納と水回り設備を設けている。1階は周辺環境にあわせて商業用途として、上階の住まいをサポートしながら街とつながりのできる空間を想定した。

 

 

形態と構造


事業性から容積率の最大化を行った。日影規制と斜線制限を詳細に検討して、この敷地条件から導かれる最大限の外形ボリュームとしている。高さ制限から削られてくる建物の角部や、二つに分かれて角度の異なる屋根が内部空間に部屋ごとの特徴を与えている。各階の階高を限界まで抑えているため、コンクリートの重圧感がないように構造フレームを人体の尺度にあわせて500mm×500mm角の小径RC純ラーメン構造とし、家具と同等のスケール感とした。

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ディテール


事業性から集合住宅は安全面で強いプライバシーを求められており、その閉鎖性により周辺の街並みと個人の生活が断絶する可能性がある。1階を商業用途にすることで、街に対する顔ができることを期待した。敷地の奥側に位置する事務所はエントランスホール側をガラス張りにして視線が抜けるようにしてあり、エントランスを通して人の活動の気配を感じられるようにしてある。ここが個人と街の中間領域となり、生活が街に織り込まれるような意識が生まれればと思っている。共用部においては、亜鉛メッキのようなタフな工業製品の使用や手作りのスチールワークを通して、モノづくりのスピリットを感じられるあり方を目指している。

 

(工藤徹)

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所在地  東京都目黒区

用途    飲食店・事務所・集合住宅

 


敷地面積 191.15m2

建築面積 129.01m2

延床面積 618.74m2

階数   地上6階 

構造   RC造+一部S造

 

竣工   2023年12月