photo by DAICI ANO
Yutenji Apartments
建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・挾間裕子・浜真理子・金栄宇・山下真平
構造:構造計画プラス・ワン
設備:団設備設計事務所
施工:佐藤秀
東京では幹線道路に面する敷地は、防火帯にするという都市計画の誘導もあって、大資本による大型ビルが建てられている。街区内部の密集市街地は事業効率が低いため大資本の開発は参入しない。この個別解を必要とする街区内部の計画に多くの建築家が参画し急激に建て替えが進行している。
この計画地のある祐天寺は地元の小店舗が元気である。商圏の規模が小さく店の人も住民も互いに何となく顔見知りで気配りができている。このような木造密集市街地では互いの視線が交錯し、互いの生活の気配を感じる。このような共に住んでいるという感覚をもてる環境にいることが豊かな生活なのだと思う。ここには密集市街地から学ぶことで開発される未来の集合形式がある。
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視線のスタディ
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隙間から思いがけない風が流れてきたり、庭木を通して優しい陽射しが射してくるような心地好い空間がある。
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周辺の木造密集市街地は複雑な外部空間が存在する。敷地の中央には透明なボリュームを3つ分棟配置、敷地境界には周囲の建物や法的制限に対応するように小さなボリュームを分散配置している。敷地内部には周囲と連続する複雑な外部空間が生成される。
住居ユニットは、中央の開放的な空間と敷地周辺の閉鎖的な空間を、バルコニーを介して連結したスプリットタイプ(離れ付き住戸)である。
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この連結したユニットは内部での移動距離が大きく、異なる質の空間を持つので、実空間よりはるかに大きな空間を体験できる。
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ユニットの間で視線が交錯するため、互いに生活の気配を感じる。
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東京の木造密集市街地では、敷地は小さく細分化されているのだが、建ぺい率が効いているために空地率は一定である。そこでは庭とは呼べないスキマのように残る空地が存在し、そんな空地にも庭木が植えられている。この一敷地一建物という制度と民法上の壁面後退によって生まれる、都市のなかのスキマや空地を、連続する空間のネットワークであるとして見てみると、この木造密集市街地は密度がそろい庭木を抱き込んだポーラスな塊のように認識される。そのポーラスな塊に身体を入れると、その隙間から思いがけない風が流れてきたり、庭木を通して優しい陽射しが射してくるような心地好い空間がある。
そのまるでカーペットのような均質なグレインの木造密集市街地を肯定し、そのテキスタイルに編みこむように新しい建築を開発する。このネットワークとしての住宅は、それは湿度が高く温暖なモンスーン地帯に対応した心地よい住まいなのだ。
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section
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所在地 東京都目黒区
用途 集合住宅
敷地面積 1306.28m2
建築面積 648.96m2
延床面積 2751.40m2
階数 地下1階地上4階
構造 鉄筋コンクリート造
竣工 2010年7月
掲載
作品選集 2012
JA80 YEARBOOK2010 2011/WINTER
新建築 2010年8月号
新建築 2009年8月号
ELLE DECO 2008/12
FIGARO japon 2008/07/05
新建築住宅特集 2007年5月号
現代日本の建築家
JIA建築年鑑2011 2012 年
Architecture & Urbanism Magazine / Hamshahri Memari Iran
日本建築学会作品選奨受賞