photo by DAICI ANO

OTM

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建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・金栄宇・工藤徹・加藤光剛・利光収

構造:金箱構造設計事務所

設備:団設備設計事務所

施工:辰

 


 

都市の骨組みを標示する建築

麻布十番の「パティオ十番」と名付けられた広場は、日本では珍しい西欧型の雰囲気を持つ広場である。しかし、都市計画上は広場ではなく、幅員25mほど長さ45mほどの短い道路として扱われている。この不思議な道路は25年ほど前に現在のかたちに整備され、今では商店街の中心的な場所である。この広場を囲む建物は10棟ほどあるのだが、一敷地一建物という日本の法律がかかっているので、それぞれの敷地にそれぞれの都合で勝手気儘に作られている。
西欧の連続壁面で囲まれる広場とは決定的に異なる。

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この建築はこの街にとって重要な広場の一角を占めることになる。
そのコンテクストが、この建築のありようを決定している。
計画敷地は82㎡ほどの小さなものであるが、商業地域であり前面道路幅員が大きいためエンベロープには制限がない。


街並みの中で突出してしまう上部2層のペントハウス部分を鉄骨鉄筋コンクリートの構造体から鉄骨造の組柱に切り替え、本体から遊離した付属物のように扱っている。このペントハウスはオーナー住居なのだが、壁面をセットバックさせ外壁にガラススクリーンを建てて、その存在を消去しようとしている。


広場に連続する1階は、5mを超える天井高を持つ都市に属する空間である。

中間階は匿名的な素材を用い、広場に向かって隣接するジェネリックな建物に連続するようなボリュームをつくろうと考えた。都市組成に参加する操作が都市の骨組みを標示することになるのだ。

 

(北山恒)

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所在地  東京都港区

用途   店舗・集合住宅

 


敷地面積 82.14m2

建築面積 70.72m2

延床面積 477.30m2

階数   地下1階 地上8階 

構造   SRC造 + 一部S造

竣工   2010年11月

 


掲載   新建築 2011年2月号