photo by DAICI ANO
G-FLAT / 10 C.T.
建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・浜真理子・小林由里恵・挾間裕子
構造:構造計画プラス・ワン
設備:団設備設計事務所
植栽:SOYぷらん
施工:大林組
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東京は温暖なモンスーン気候帯に属し、年間を通じて戸外生活が心地よい時期が長い。そこでは、内部空間と外部空間が相互に浸透し、公的な空間から最も私的な空間へ視線が通る透明性の高い住居空間が存在する。このような開放系の空間では、プライバシーを計画原理とする近代主義の集合形式ではない住まい方が存在する。
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この集合住宅では、密実な竹林の中庭を介して互いの視線が交錯する。この透明な住戸は互いの生活をプレゼンテーションするショウケースのようであるが、視線をコントロールする建具が用意されている。
この集合住宅ではこのように生活者が能動的に透明性を選択することができる。この行為によってここに住む人々は収容されるのではなく、この空間に参加することになると考えている。
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敷地の周囲が、木造の戸建て住宅が建ち並んでいたこともあって、周辺の建物のグレインと合わせるように、ボリュームを分割し、周辺にも柔らかく、光や風の廻る環境を作ろうと考えた。
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構造要素を中央に集め、周囲を構造から開放しガラス壁とする空間形式は、密集市街地で計画する場合、建物間の隙間を肯定的に評価し活用する、有効な空間形式である。
構造体を中央部に持つことで、外周すべてを開口部にできる空間形式の住棟を10棟連結したような集合住宅である。外周部は完全に構造から自由となり、どの住戸も戸建て住宅のような外部とのインターフェイス面の多い空間形式となっている。
これまでの集合住宅の計画では、プライバシーを空間構成の原理とするので、相互の関係を切断する壁の配置が主要なテーマとなる。隣の部屋で何が行われているか分からない、窓からは無限の遠方を見るという形式がとられる。
この建築は外壁が透明であり、視線が交錯するように諸室を配置している。隣戸の気配が感じられることが決定的に、これまでの集合住宅の空間形式とは異なる。
この集合形式はプライバシーを空間構成の原理とする近代主義の集合住宅とは異なるのだ。
住戸のバリエーションの多くは住棟をまたいで使用する住戸タイプとしている。住棟間の連結バルコニーを介して離れをもつような構成である。外壁はすべてガラス壁面としているので、自分の部屋を外部を通して眺めるという視点が生まれている。
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アジアモンスーン地域では、ヨーロッパの住様式とは異なり、互いの生活の気配を感じながら、気遣いをする、という住まい方の文化がある。ここではパーマネントに隔絶する壁ではなく、可動の建具で空間を仕切る、という空間の作法を取り入れる。
外周部に縁側のような二重の建具ラインを設けることで、内部空間のプライバシーや熱環境をコントロールしている。住戸平面はコンパクトな水回り以外は可動の家具と建具が設けられているだけであり、空間の使い方は住まい手の選択に委ねられている。
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設計者側からの限定度が低いあいまいな空間形式とすることで、虚実ともに透明度の高い空間が実現している。
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この縁側を外周部にもつ空間形式では透明度の高いオープンエアーハウジングとでもいえる空間が実現している。
(北山恒)
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所在地 東京都大田区
用途 集合住宅
敷地面積 1509.55m2
建築面積 741.65m2
延床面積 2635.78m2
階数 地上5階
構造 RC造
竣工 2006年3月
日本建築学会賞
日本建築家協会賞
アルカシア建築賞ゴールドメダル
掲載
建築画報
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