街と空に接続するふたつの空間

計画地は東京郊外の住宅地で、塀に囲まれた戸建て住宅の中にアパートの建て替えが散在している。

建て主はパブリックアートの研究者。2階は仕事場で、たくさんの本に囲まれた図書館のような落ち着いた空間である。静かに研究ができるよう中央に採光通風のための小さな閉じた中庭を設ける空間構成を提案した。ここを通してコントロールされた自然を静かに内部に取り入れている。上下階で明確な生活区画が要求されるために、2階の床は遮音シート下地厚50mmのモルタル仕上げとした。周囲の内壁や造作は光を取り込むようにラワン合板素地仕上げにしている。

photo by DAICI ANO

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1階は敷地と密接に関係する空間である。道路側はオフィスまたはパブリックアートのためのギャラリーという設定にしているため、靴のまま使うタタキであり、街に属する空間である。

日本の住宅地でブロック塀は見慣れた風景だ。
この境界を表す建築要素を建物の中に置くことで、街との関係を変えようと試みた。

通常は道路境界に置かれるブロック塀がセットバックして建物の中に置かれることで、公共的な空間が建物内部に侵入する。

photo by DAICI ANO

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そして、そのブロック塀の内側では、既存のブロック塀に囲われた庭がその内部空間と一体となる。

そんな意味的操作をどこにでもある住宅地の風景の中に仕掛けている。一戸の住宅がこのようにして街に開かれることで、住宅地の街並みが近隣との関係を結び始めるのだ、と考えている。

（北山 恒）

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延床面積　101.49m2

階数　　　地上２階　

構造　　　木造

竣工　　　2017年9月

掲載
作品選集 2013
新建築創刊85周年記念　住宅10年 2010年12月臨時増刊号
新建築住宅特集 2010年2月号
建築知識 2009年11月号

美しい住宅インテリアの見本帖 / X-Knowledge 2013年

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