photo by DAICI ANO
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建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・工藤徹・濱名直子
構造:構造計画プラス・ワン
設備:団設備設計事務所
施工:辰
敷地は神楽坂近くの江戸期からの住宅地で、古地図をみると大きな敷地割だったのが、おそらく戦後細分化され密集している街区が生まれ、街のグレインはマダラである。さらに近年には大きく残った敷地はマンションへ建て替えが進行している。こんな周辺環境の敷地内で建物を南側の敷地境界ぎりぎりに寄せて配置し、法的に要求される窓先空地、有効採光面などを北側にとることで、まとまった大きな空地を創り出すことにした。
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この大きな空地には特定の機能は想定していないのだが、法的に要求される空地、通路を集めているため住戸の開口部や玄関そして動線がすべてこの空地にむかっている。さらに外部からアクセスする場合はまずこの空地に入るというエントランスホールのような位置づけとなっている。1階の住戸はこの空地に直接面してしまうので、プライバシーを守るために住戸の前に浅い水盤を設けている。北側の空地なので暗い印象にならないよう素材や色調を選定し、この空間内に光が廻るように配慮している。このような配置ができるのは南側のブロックの住戸にメゾネットを2段重ねるという住戸形式をとって法的に対応しているからである。
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下段のメゾネット住戸は空地に直接接続する北面に大きな吹き抜けの空間を設けており、小規模なオフィスまたは仕事場を下階に住まいを上階にもつようなSOHOとして使われることを想定した。
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上段のメゾネット住戸は共用の片廊下からアクセスする。下段のメゾネット住戸とわずかな空間配列の変更なのだが、寝る場所とバスルームとキッチンのある空間という領域を明確に分節することで生活に対応している。どちらのメゾネットも上階の南側に開放的な少し広いバスルームを設けており、ここを洗濯室やサンルームとして使うことで室内気候を調整することができる。この二重建具にはさまれるバスルームは外部テラスのようにも使うことができるのでバステラスと呼んでいる。南ブロックの南面には600㎜幅の連続する設備バルコニーを設け設備機器をここに収容し、設備配管もすべて外部から点検できるようにしてある。
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この南ブロックとブリッジで結ばれる北ブロックは配置計画上採光条件が悪くなるため四周すべて開口部にできる空間形式を検討した。室内は縁側をもち襖・障子で仕切られる伝統的な日本の家屋のように木製パネルが外周に二重に配置されている。
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この平面中央の厚い壁で2部屋となるフラットタイプの住戸はコネクティングドアで連結することもできるようにしてあり、兄弟や未婚の男女など同居でも別居でもない人間関係の住まいとなる可能性を用意している。
(北山恒)
所在地 東京都新宿区
用途 集合住宅
敷地面積 787.57m2
建築面積 417.16m2
延床面積 1,636.88m2
階数 地上5階
構造 鉄筋コンクリート造 +一部鉄骨造
竣工 2004年5月
グッドデザイン賞
掲載
建築技術 2008年12 月号
TITLE 2005年 2月号
Casa BRUTUS 2005年 2月号
新建築 2005年 2月号
BRUTUS 2005/01/1
BRUTUS 2004/06/01
pen 2003/06/01
memo 2001/08
JIA Architect of the Year 現代日本の建築家 / JIA 2006
デザインマンションに暮らす / えい出版社 2006年