本町アパートメント

建築：architecture WORKSHOP / 北山恒・金栄宇

構造：江尻建築構造設計事務所

設備：創設備設計事務所

施工：平成建設

photo by DAICI ANO

小さな経済を支える都市装置

計画地はオペラシティ近く、甲州街道沿いに建つ高層住宅から一皮入る都市の喧騒からは少し離れながら、しかし住宅街ではない。敷地条件の中での適切なボリュームを求めた結果、建主の使用する音楽スタジオ、貸オフィス、小さな賃貸の部屋２戸という事業として使用する諸室はコンクリートのボックスの中に収容され、その下部構造の上に軽い住宅が載る構成となった。この建築はまるで小さな経済活動を行う都市装置のようである。

RCの構造体を少し地盤に埋め込み土圧浮力を得て安定させる構造体とし、それを下部構造にして軽いブレース付鉄骨造の住宅を載せている。できるだけ単純な構造形式とし、将来の変化に対応できるように乾式の間仕切り壁とした。

建設資材はできるだけ汎用材や流通材を定尺のまま使用し、電設資材や仮設資材などタフな構造で単価の低いものを探した。付属部品もそのまま用いるのだが、取付位置や寸法を注意深く検討している。

この複合建築はコンクリートのボックス部分が文字通り経済の下部構造となっている。できれば音楽関係の借家人が使用してくれることを期待しながら、大家と店子が共有するホワイエ空間のような階段室を設けた。大きな家族のように生活できることを考えた。

（北山恒）