photo by DAICI ANO
clover house
建築:architecture WORKSHOP / 工藤徹
構造:江尻建築構造設計事務所
設備:創設備設計事務所
施工:ユニホー辰カンパニー
2戸のオーナー住戸と7戸の賃貸住戸からなる集合住宅である。計画地は北側に幅員の大きな都市計画道路、南東に区道、西側は公園と大学所有の空地で、隣接する建物がひとつも無い、都内の住宅地では珍しいアイランド状の敷地である。全方位からの視線によって、ここに建つ建築はフリースタンディングオブジェのように認識されるだろう。この外部からの視線と住まい手の内部からの視線が接し、境界面が建築として現れる。
photo by DAICI ANO
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日影と斜線の制限を検討すると、約10mから20mまでの高さで建てられる場所が分布している。基準となる賃貸住戸の面積に対応する3つのブロックを置き、それぞれの高さを可能な限り高くし、外形線をこれらの制限から削り取るようにして決定した。構造形式は耐震要素を平面中央に集めた耐震壁付きラーメン構造とし、外壁を全方位に向けて開口部とした。
それぞれの住戸は独立性が高く、風が抜け、光が十分に差し込む。しかし周辺の距離を持った空間に向かって開きながらも、同時に外部からの視線に守られ、閉じてもいるあり方が、自由で心地よい住まいをつくり、この建築を成立させる条件になる。
photo by DAICI ANO
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この外部と内部の境界面に現れる、視線の力学を制御するスクリーンとして、既製品の有孔折板を採用した。それは内部から見るとやわらかいカーテンのように光を通し、外部から見ると生活の細部が奥へと消え単純で明瞭な表情となる。この建築が都市のイメージを構成し、記憶に残る風景となっていく。
3つの塔のように分かれた平面からclover houseという名がついた。
(工藤徹)
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plan
section
所在地 東京都世田谷区
用途 集合住宅
敷地面積 245.00m2
建築面積 154.03m2
延床面積 671.13m2
階数 地下1階地上6階
構造 鉄筋コンクリート造
竣工 2010年7月
掲載 作品選集 2012
新建築 2010年8月号