photo by DAICI ANO

Shimouma 4 houses

下馬の4軒長屋

建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・加藤光剛・挾間裕子

   kawashima office / 河嶋麻子(C住戸infill)

構造:構造計画プラス・ワン

設備:団設備設計事務所

施工:新日本建設

 


 

合意形成を誘導するダイアグラム

4軒のコーポラティブハウスである。コーポラティブ方式の集合住宅の供給は急速に社会で承認されてきているが、当時はまだ一般的ではなかった。マンション業者が参入しない不良宅地を安価で購入し、設計者の能力で付加価値のある豊かな空間に創りあげるという事業モデルである。

 

敷地は東京の山の手にある良好な住宅地の一角にあるのだが、旗竿敷地なので建築基準法上長屋形式としなければ集合住宅は建てられない。そこで、長方形平面をグランドレベルでは短冊形、地階・2階レベルでは田の字型に4分割したものを、それぞれ一つずつ組み合わせて1ユニットとした。回転するクロスメゾネットという空間形式を開発した、入口は短冊で各戸分かれているが屋上では共有の屋上菜園が楽しめるという共同体である。同じ空間構造の4ユニットは方位により微妙に性格の異なる空間構成となっているが、できるだけ4軒が平等な空間配分となるようにしている。


このプロジェクトは敷地を購入する前に簡単な設計を行い、その図面をネット上に流して入居者を公募するシステムである。そのため、短期間に法的なチェックをし、ヴォリュームスタディを行う必要がある。数学の論証問題を解くように、抽象度の高い空間ダイアグラムを検討した。美学的なことや恣意的な事柄を排除することで、多様な人格が計画に参加することが可能となる。この空間ダイアグラムが民主的な手続きを行う道具となって新しい共同体の合意形成を誘導した。

(北山恒)

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平面図

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断面図

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所在地  東京都世田谷区

用途   コーポラティブハウス

 


敷地面積 232.97m2

建築面積 116.22m2

延床面積 364.59m2

階数   地下1階 地上2階 

構造   RC造 

竣工   2003年3月

 


掲載
日経アーキテクチュア 2004/09/06
室内 2004/06
pen 2003/06/01
新建築 2003年5月号
JA49 - collective [housing]- 2003/spring

DOPPELHAUSER UND REIHENHAUSER / DVA, Germany 2006