photo by DAICI ANO

Yotsuya Apartments

四谷の集合住宅

建築:architecture WORKSHOP / 北山恒・内田仁美・山下真平・諸橋奈緒

   設計協力:compacts / 原田賢一 airlab / 江向映

構造:構造計画プラス・ワン

設備:創設備設計事務所

施工:小川建設

 


 

一戸建てと中規模の集合住宅がゆったりと立ち並ぶ、都心の住宅地に建つ8戸のコーポラティブハウスである。敷地は前面道路から20m以上奥まっており、四方すべてが隣地と塀を共有するという条件の中で、明るく伸びやかな都心生活を実現するための回答が求められた。

 

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敷地の閉じられた状況を積極的に捉えながら検討を重ねた結果、敷地形状をそのままセットバックさせたような建物を、周囲に避難上有効な通路幅員を確保するように配置することで、四方全てが隣地境界に対して一定の距離を保つという不思議な立ち振る舞いの建物形状にたどり着いた。

 

建物平面は、水平力を負担する耐力壁で田の字型に分割され、四隅には鉛直荷重のみを受けるポスト柱を配置している。中心部には、各住戸の設備・電気関係の配管・配線を収める深い井戸のような設備シャフトを設けており、外周部は全てアルミサッシで覆う構成とした。

 

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各戸は全て1階からアクセスする長屋形式であり、地階にドライエリアをもつメゾネット4戸と、屋上にルーフテラスをもつメゾネット4戸の組み合わせとなっている。
1階では、建物外周のぼんやりと空いた通路空間を室内空間の一部として感じることができ、2・3階では隣地の建物外壁や庭の植栽を借景とし、遠方まで広がる都市風景の中に投げ出されるかのような住環境が実現されている。

 

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一般的なコーポラティブハウスの計画では、開口部のアルミサッシは躯体等と同様にスケルトン扱いとすることが通例ではあるが、本計画では建物外壁の9割以上を占める外周部サッシの全てをインフィル扱いとし、住まい手の希望によって変更可能な要素として扱っている。
サッシ形状とガラス・アルミパネルの種類を合わせると、連窓方立間の1ユニットに対して30種類以上の選択が可能である。このシステムの中では、建物の外観は設計者の手を離れ、室内の平面構成や住まい手の希望、敷地周囲の状況などに応答して自動的に決定されていく。
アルミサッシという一建築材料の扱いを少しだけ見直す行為が、この建物が持つ図式的・即物的な側面を強める結果となった。

(山下真平)

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所在地  東京都新宿区

用途   コーポラティブハウス

 

敷地面積 368.92m2

建築面積 179.12m2

延床面積 729.30m2

階数   地下1階 地上3階 

構造   RC造 

竣工   2012年1月

 


掲載   新建築 2012年2月号